第13章 看 病
女性「あの…すみません…」
『はい…?』
いきなり知らない人に話しかけられ、コミュ障を発動する私。
間抜けな声を出してしまい少し恥ずかしくなる。
そんなことをお構い無しに女性は話を勧めてくる。
女性「えっと、道をお尋ねしたいんですけど…萬屋ヤマダって知っていますか?以前来たことはあるんですが…道に迷ってしまって…」
『えっ、萬屋ヤマダっ…あ、はい…知ってますけど…』
萬屋ヤマダと聞いて私はさっきのこともあり過剰に反応してしまった。
何とかすぐに平常心を保って、話を進めた。
女性「本当ですか…!?あの、お手数おかけしますが道を教えていただけないでしょうか?」
『いいですよ…?』
私は女性に萬屋ヤマダまでの道を携帯のMAPを見せて教えてあげた。
すると女性は感謝を述べて萬屋ヤマダへと向かって歩いて行った。
……あの人、手に紙袋持ってたけど…まさか一郎くんのお見舞いに来たとか?いや、彼女とか???
ちょっと気になるから着いて行ってみようかな…
いや、これはストーカーとかじゃないし…!!!
ちょっとだけだよ、ちょっとだけ……
私は女性の後を追って萬屋ヤマダへと向かった。
〜 萬屋ヤマダ 〜
無事にバレずに萬屋ヤマダに到着した。
私はこっそり物陰から女性と三郎くんのやり取りに聞き耳を立てた。
女性「先日はお世話になりました」
三郎「いえ!無事に解決したみたいで安心しました。…と、今日はどうしたんですか?」
女性「あ、はい。お礼をしに行きたいと一郎くんに連絡をしたら風邪をひいていると聞いて…お礼も兼ねてお見舞いにと思って…」
三郎「そうでしたか!わざわざありがとうございますっ。いち兄寝てるかもしれませんけど…良ければ中にどうぞ!」
そう言って女性を中へ招き入れた三郎くん。
…………いや、待って???
この差は何…!?
私だって一郎くんのお見舞いに来たんですけど!?
なんであの人は良くて私はダメなの…!?
解せぬ…納得できない………
そんな落ち込みモードで帰ろうと踵を返せば、目の前に立っていた人物に声をかけられた。