第12章 お 見 舞 い
幻太郎「いえ、ちょっと興味ありまして…」
そう言って艶っぽい笑みを浮かべながら私に近付いてくる幻太郎さん。
そしてそのまま私の頬に手を添えて顔を近づけて来る。
帝統「お、おい…!」
帝統くんが焦りながら声を上げるものの、どんどんと綺麗な顔が近づいてきてやばいと思いながら目を閉じた。
幻太郎「ふふ…」
キスされると思い目を閉じたが、少ししてから目の前で笑い声が聞こえて私はゆっくりと目を開いた。
『えっ…?』
幻太郎「嘘ですけどね」
『う、嘘…?』
幻太郎「誰もキスするなんて言ってないのに…目まで閉じて、随分と可愛い反応をするんですね?もしかして…本当にしたかったんですか?」
幻太郎さんはクスクス笑いながら私を見てくる。
その様子と言葉に私は恥ずかしくなりリンゴの様に顔を赤くした。
『ち、違います…!!!誤解です!』
帝統「はぁ…マジですんのかと思ったぜ…」
幻太郎「しませんよ。今は…」
…今はって何…!?
本当に幻太郎さんって読めない…
弄ばれたように思えて、軽くため息を吐けば幻太郎さんは私の鼻の先に軽くキスをした。
『えっ…!?』
幻太郎「さ、帝統。帰りますよ」
帝統「えっ?お、おう…」
私と帝統くんは困惑していたが、帝統くんは幻太郎さんに連れられ帰る準備を始める。
部屋から出る間際、幻太郎さんはこちらを振り返り一言。
幻太郎「ゆっくり休んで早く風邪治してくださいね」
それだけを残せば、二人は帰ってしまった。
…いや、待って?
私弄ばれたんだけど!?
この気持ちのまま放置して帰るんですか幻太郎さん!?
私はキスされた鼻を触りながら幻太郎さんの顔を思い浮かべてしまった。