第10章 風 邪 っ ぴ き に ご 用 心
『はい、もしもし…』
左馬刻「おう。……風邪、平気なのか」
『あ、はい…昨日の夜よりは身体良くなったんですけど、念の為に病院行っておこうかなって思って』
左馬刻「なら迎えに行ってやる」
『…えっ!?』
まさか左馬刻さんがそんな事を言うなんて思ってもみなくて私は驚いた。
確かにこの体調のまま自力で病院に行くのは辛いし…お言葉に甘えて迎えに来てもらおうかな………いや、待て私。
左馬刻さんが迎えに来るってことは、私の家に来るってことだよね?
でも今私の隣には帝統くんが寝てる………
……このままだと男を連れ込んでる女みたいに思われるじゃん…!!!!それは勘弁!!!
どうしようどうしよう…やっぱり自力で行った方がいいかな…尻軽女とか思われるのもなんか嫌だし……!
今回は断ろう…そうしよう……
『あのっ、左馬刻さん…私…』
左馬刻「今から迎えに行くから準備して待ってろ」
断ろうとすれば、私の声など届かず迎えに行くとだけ伝えられてはそのまま電話を切られてしまった。
………………左馬刻さぁぁぁぁぁあん!!!
少しは私の話を聞いてくださいよ…!!!!
やばい、左馬刻さんが来る前に早く帝統くんを帰らせないと…!
私は気持ちよさそうに眠っている帝統くんを揺さぶり声をかけた。