第2章 キスまでは、あと少し
腰の曲がった着物姿のバァちゃんは、風呂敷に包んだ荷物を担ぎ、辺りをキョロキョロ見回していて…
こんな典型的な "息子に会うために田舎から出てきました" みたいなバァちゃんいる!?
何これ。モ○タリングかな!?
一瞬某テレビ番組が過るけれど、でも本当に困った様子のバァちゃん。
「……」
…いやいや、今は一刻も早く小雪んとこ行かなきゃ!
行かなきゃ…だけど…。
俺は昔っからバァちゃん子なんだよ。
例えよそのバァちゃんだって、困ってるバァちゃんを見て見ぬふりなんか出来ません!
「あの、何かお困りですか?」
小さな背中に声を掛ければ、振り向いたバァちゃんはクシャッと皺を寄せて笑った。
「ああ、ありがとうね。息子に会いに田舎から出てきたんだけど…」
うん知ってる。知ってたよ、バァちゃん!
「あんた背が大きいねぇ。東京の人はみんなこんなに大きいのかしら。私あんたの半分くらいしかないわ。ホッホッホ!」
えっと、バァちゃんギャグですか?
笑えばいい!?
「うちの息子は背が伸びなかったでしょう?私に似ちゃったから。おじいさんに似ればもっと男前になったろうに…」
世間話始まってる…何か俺がバァちゃんの息子知ってる風になってる!
うんうんうんうん、いーんだよ、仕方ねぇ。
それがバァちゃんという生き物だから!
話を聞いているうちわかったのは、降りる駅を間違えてしまったのだということ。
「さっき降りた場所まで戻って、あと三つ先の駅で…」
…って口で言ってもきっとわかんねぇよな。
初めて来る駅なんてどこも同じように見えるだろうし。
特にこの駅は広くて、ホームの数も多い。
「俺も途中まで一緒に行くよ。バァちゃん、荷物持つから貸して?」
「わざわざ悪いねぇ。飴ちゃん食べるかい?」
「うん、あんがと」
バァちゃんから貰った黒飴はポケットへ。
足取りを合わせてゆっくり構内を進み、ようやくホームまで辿り着く。
降りる駅の名前を念押しして、バァちゃんとは別れた。
さあ。今度こそ小雪の元へ!!