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小さな恋のパフューム【黒尾鉄朗】

第2章 キスまでは、あと少し



小雪の好きそうなプレゼントをリサーチして、単発のバイトして、デートプラン練って…
ひっそりこっそりそんなことをしているうち、いよいよ翌日に迫った小雪の誕生日。

プレゼントも買ったし、行き先もバッチリ。
明日は小雪の思い出に残るような一日にしたい。
寝る前のお約束になっている小雪との電話も、明日に備えて早めに切り上げた。

ベッドの中で一人、アレコレ考える。
あー、なんかヤベー…。緊張してきた…。
明日こそは、手を繋ぐだけじゃなくってその先を…!
そんな風に意気込み過ぎてんのか、目が冴えちまう。


それとなく、そういうムードにもってかなきゃだよな。大丈夫。何となくシミュレーションしてあるし!
でも拒否られたらどうする?小雪、奥手っぽいもんな…。
いや、付き合ってもう三ヶ月。そろそろいいだろ。…待て待て!それは俺の価値観!決めつけダメ!


こんなことなら恥を忍んで夜久に相談しときゃ良かった。
一年の頃、ショートカットが似合う小柄なカワイコちゃんに惚れた夜久パイセン。
なんと三回振られても諦めず、今カノであるあゆみちゃんをモノにした猛者なのだ。

…やめよ。あいつを参考にするのはヤバイ。
あれは特殊!男気が服着て歩いてるような奴だから!!
自分がヘタレの中のヘタレに思えてしまう…!!
あ"ー!!色々考えてたらワケわかんなくなってきたっ!!
つーか、もしキスしようとして嫌われでもしたら…!
落ちっ、落ちちゅ、落ち着け!
ハッ…、そうだ深呼吸!脳に酸素!俺の血液、滞りなく流れろぉぉーっ!!




……眠れねぇ。




結局、考えたところで堂々巡り。
ここまで来たら根性だ。根性見せろ、鉄朗!
根性論と言えば…のモヒカン頭を無理矢理引っ張り出してきて、瞼をギュッと閉じる。



その夜。
夢の中での俺は、何をどう血迷ったのか、山本にキスしようとしていた…。

そんな悪夢で目を覚ましたら、そこから眠りにつくのはまた困難で。
睡魔が押し寄せてきたのは、空が白み始めた明け方のことだった……。



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