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黎明即起

第1章 恋愛に至る道(出会いから恋に辿り着くまで)


01

自宅に帰宅した後、黎明がまず最初にしたのは揃っていた両親に祖父から伝えられた政府の依頼とそれを避けることが出来ない神がかり的な何かの存在の説明であった。
一通り黎明からの説明が終わるまで黙って話を聞いていた両親は、それぞれに心配そうな表情を浮かべながらもどこか諦めたように小さく息を吐いた。
それから、どこか諦めきれない様子で確認のために口を開いたのは母の方が早かった。

「それじゃあ、朝陽ちゃんは明後日からもうおうちには帰ってこないの?」
「そういうことになるわね。落ち着けば帰れると思うけど、少なく見積もって向こう一年は無理だと思うわ」
「一年……そんなにか?」
「父さんには悪いけど、さすがに仕事に慣れるのにかかると思うもの。でも、機密に関わらない手紙のやりとりは出来るはずよ。ね、こんのすけ?」
「はい! わたくしめがお預かりして、お運び申し上げます!」

リビングのソファで向かい合って座る三人の中で、黎明に膝に抱き上げられていた管狐のこんのすけが元気に尻尾を跳ねさせて胸を張って答える。
この管狐は黎明とのコンビが初仕事であり、その責務に非常にやる気みなぎっているのである。
こんのすけの様子に和んだ親子が、再び話し合いをして月に一度の近況報告を忘れないことと帰郷が許されるようになったらまず最初に自宅に顔を見せに来ることを約束として、その会話を終わらせたのは黎明の帰宅から四時間ほど経ってからだった。
そうして、本名向井朝陽こと黎明がその場に到着したのは、祖父である神主に呼ばれ政府との契約に名を知記し、こんのすけを得てから三日後のことである。

「ねぇ、こんのすけ?」
「はい、黎明様!」
「……ここ、本当に見習い受け入れてる本丸なの?」
「えーっと……そう、ですよねぇ……」

ゲートを潜り、一歩足を踏み入れたそこは身体に纏わりつく濃密な空気に神気など感じず、どちらかと言えば泥沼にどっぷりと浸かったようなそんな気持ち悪さしか感じない。
黎明の本能がここは危険だと訴える中、こんのすけはその足元でくるんと宙で回ってモニターを呼び出すと行き先を確かめている。
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