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黎明即起

第1章 恋愛に至る道(出会いから恋に辿り着くまで)


07

「明石ッ!」

馬舎近くまで来た時、黎明は不意に何か敵意を持つものが自分に迫っているのを感じて振り返ると考えるより前に明石の名前を口にしていた。
明石はその声に反応して即座に動いて黎明が敵意を感じた方向に刀を抜いて立ちはだかると同時にキーンッ! という高い音が響き渡った。
黎明の傍には五虎退も短刀を鞘から抜いて身構えている。その姿は先ほどのおどおどとした幼子の雰囲気はなく、覇気のある姿で黎明は内心驚き感嘆していた。

「邪魔をするな……」
「そうは言わはりましても、こればかりは譲れんことです」
「お前、今まで一切やる気も見せなかったくせにッ!」

ギリギリと明石と鍔迫り合いをしているのは褐色の肌をした、片腕に龍の痣がある黄金色の瞳の男性だった。
この敷地に居るのは全て刀剣男子であると聞いている黎明は足元に居たこんのすけに視線を送ると、心得た様に顔を上げて説明を始める。
明石がやや押し気味の相手ではあるが、大倶利伽羅という打刀で刀剣男子であるのは間違いないらしい。
あまり他人と関わることをしようとしないが、光忠と仲が良いと言う話を聞いてなんとなく襲われた理由を察した。

「なんで大倶利伽羅さんが黎明様を狙うんですかッ?!」
「お前には関係ないッ! 良いからどけッ!」
「五虎退様、明石様、引いて頂けますか?」
「黎明様ッ?!」

幾度となく切りかかってくる大倶利伽羅に応戦している明石の後ろで、黎明を守る場所に立ちながら叫んだのは五虎退だった。
悲痛な想いが混じった声に一瞬戸惑ったような間を見せた大倶利伽羅はそれでも引くことはなく切りかかってくる。
黎明は自分が狙われていると理解していたが特に恐怖することはなく何かを見定めるように、ただ大倶利伽羅を見つめていた。
そうして数分後、突然の黎明の言葉にこんのすけが悲鳴のような声で黎明の名前を叫ぶ。
黎明は大丈夫よと笑い、足元で慌てるこんのすけを抱きかかえると五虎退に託して明石の背後に歩み寄る。
明石がチラリと視線を流してくるのを受けて微笑むと、明石は軽く肩を竦めて一度大倶利伽羅を大きく後ろに跳ね飛ばしてから黎明に前を譲った。

「大倶利伽羅様、その縛りを解いて差し上げましょうか?」
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