• テキストサイズ

黎明即起

第1章 恋愛に至る道(出会いから恋に辿り着くまで)


五虎退は頼まれることが嬉しいのか張り切って掃除を手伝っていたのはご愛嬌である。

「ここはこれで良いわね。清めもしたから居心地は良くなったかしら?」

掃除も清めも終わった厨の入口で中を眺めながら言うと、チラリと横に立つ明石を見上げる。
僅かに目を見開いたのは気のせいではないだろうと黎明の口元に自然と満足気な笑みが浮かぶ。

「さて、じゃあ次は馬舎ね。世話をしている方はいらっしゃるのかしら?」
「どうでしょうか? 馬は初期の頃に政府から支給された子しか居ないですけど」
「五虎退様は時々様子を見に行かれていたんですか?」
「あ、はい! 虎さんたちが気にしていたのもあって、動物ですし。ただ、あげれる飼葉や野菜がほとんどないので」

五虎退がぱっと顔を上げて言う内容に頷き、やはり次は馬舎と畑を見る必要があると黎明は踵を返す。

「行きましょう。明石様、案内を」
「ええですよ。ああ、様付けも止めてくれてええんですけどね」
「え?」
「いえ、なんでも。ほな、行きましょうか」

しょんぼりと沈んでしまった五虎退に手を伸ばし、胸の前で握られた手を取って繋ぎながらただ見ていた明石に声を掛けると先に立って歩き出してくれる。
その彼が頷いた直後顔を背けながら告げた言葉は上手く聞き取れなくて、戸惑いを含んで聞き返せば振り向いた明石は何でもないように笑みを浮かべて首を振った。
その笑顔が朝から何度か見かけた柔らかいものではなく、昨夜会ったばかりの時に浮かべていた感情を隠すようなソレで眉を寄せる。
けれど、きゅっと握られた五虎退の手で優先事項を思い出し、黎明は歩きだした明石の後を追い掛けた。
/ 24ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp