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黎明即起

第1章 恋愛に至る道(出会いから恋に辿り着くまで)


「な、に?」
「大倶利伽羅様には何かがまとわりつき、意図しない事でも逆らえない様になっている。違いますか?」
「お前……見える、のか?」
「ええ、操り人形のようにその手足にまとわりつく黒い紐が。でも、その先に居るのは貴方が大切にしている方……無理にちぎればその方にも影響が出る」

違いますか? と笑みを崩さず尋ねる黎明に一瞬見せたのは怯えか、否か。
黎明は視線を逸らさずに大倶利伽羅を見つめ、静かに返答を待つ。

「その通り、だ……。俺が逆らえば光忠は……」
「承知いたしました。ならば、かの方に影響のない方法でそれを削ぎましょう。少なくとも、貴方が心を殺す必要がないように」
「そんなことが出来るハズっ!」

大倶利伽羅が無駄なことをするなと言わんばかりに叫ぶのと、黎明が拍手を打つのは同時だった。
パーンッ! と、通常ではありえない程の大きさで響いた気がするたった一つの拍手が一瞬で辺りの濁った空気を打ち払っていく。
その様子に目を見開いたのは大倶利伽羅だけでなく、五虎退やこんのすけもだった。
ただ一人、明石だけが判っていたかのように口角を上げ、まるで主を見つめているかのように愛おしげに黎明を見ている。
そんな中で黎明は静かに祝詞を紡ぎ始める。一歩前に進み、元に戻ってふわりと身を翻す様は舞う様で、全員が黎明の姿をただ見つめていた。

「畏み、畏み、申す」

最後の一言を口にし終わるのと同時にまた拍手が打たれ、どこかでプツリと糸が切れた様な音が聞こえた気がしてハッとなった大倶利伽羅が自分の身体を見下ろす。
いつもなら自分が逆らったと同時に聞こえてくる光忠の悲痛な叫びも聞こえず、けれど確かにつながったままであると確信出来て目を見開く。

「何を、した……」
「主軸を切らず、貴方を戒める物だけを払いました。主軸を無闇に切れば何があったかバレるでしょうし、それは大倶利伽羅様の大切な方も苦しめるでしょう?」
「そんな、こと……」
「完全に切ることは出来ませんから、一時的なモノです。直ぐにまた絡みついてくるでしょう。五虎退様、ご本体をお借りしても?」
「あ、はい!」

呆然とした口調で問う大倶利伽羅にざっくりとした説明をした黎明は、五虎退に声を掛け短刀を借り受けると自身の髪をひと房手に取りざくりと無造作に切り取る。
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