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黎明即起

第1章 恋愛に至る道(出会いから恋に辿り着くまで)


「五虎退様には五虎退様のお役目があります。まだ今はその時ではないのでしょう」
「そう、でしょうか」
「ええ。でも、お役目が訪れるまでお暇でしたらお手伝いをお願いしても?」
「は、はい!」

じっと見つめてくる視線に応え合わせたまま、黎明は励ますように言葉を選ぶ。
戸惑いながらも期待の色が浮んだ瞳で問いかけられ、微笑んではっきりと頷けばほんのりと頬が桜色に染まった。
安心したような吐息を聞きながら、更に一言付け足すと今度こそ喜色を浮かべながら元気な返事が返ってきた。
お役目も渡されず、主の手伝いも出来ないのは余程辛かったのだろう。
預けられたカセットコンロを大事そうに抱えた五虎退を確認して黎明は姿勢を戻すと待っていた明石を振り返る。

「では、片付けに行きましょう。片付け終わったら馬舎と畑に案内してくれる?」
「もちろん。せやったら、まずは片付けましょうか」

はい! と元気に返事をして前を歩きだしたのは五虎退で、嬉しそうな様子にクスリと笑みを零したのは明石か、黎明か。
明石に促され黎明も食器を載せた盆を手に厨へと向かう。目の前で跳ねるように楽しげに歩く五虎退の後ろ姿に自然と黎明の口元が緩む。
ふわり、ふわりと跳ねる柔らかな金糸と、少しだけ良くなった顔色に内心で安堵の息を吐く。
厨に着くと鍋はコンロへと戻して貰い使った食器を洗って仕舞う。そうしてもう一度今度は徹底的に厨房全体を掃除した。
片付けに掃除まで含まれていることに明石が難色を示したが、黎明に言われれば抗うことなく手伝ったことに黎明の方が首を傾げた。
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