第14章 初回から我らのヒーローが来た
「早速だが今日はコレ!!戦闘訓練!!!」
「戦闘……訓練…!」
初っ端から苦手なやつきたー!先ずは座学とか、そういう、触り的な、ジャブ的なアレではないんだ!?初っ端から実践訓練!?飛ばし過ぎだよオールマイト!戦闘訓練と聞いてポーチから顔を出したタイガーがそのままモソモソと机の上に上がって話を聞く体制に入った。おれよりもコイツの方がやる気じゃん……いつの間に拾ったのか、床に落ちていたはずのシャーペンをバニー手渡されながらふっと息を吐く。
「ありがと」
「そしてそいつに伴って…こちら!!!」
微かな電子音の直後、教室の壁が動いた。スライドしながら教室の前方に出現した巨大なガラスケースには、30cm四方の箱が等間隔に展示されている。箱の表面には数字が書かれている。ざっと見たところ1から21まであるみたいだけど、もしかして出席番号か?何が始まるんだ、一体。期待と想像を膨らませていると、オールマイトがガラスケースをこつりと叩いた。
「入学前に送ってもらった「個性届」と「要望」に沿ってあつらえた…戦闘服!!!」
「おおお!!!!」
「コスチューム…!!」
興奮に沸き立つついでに席も立ちながら雄叫びを上げるクラスメイトたちが多い中、前の席の轟はいつも通り静かなままだ。
「なあ、轟はどんなのにしたんだ?」
「……半分氷」
「おっ!おお…..?半分氷?あ、そうか、轟の個性氷だもんな!ジャンプスーツか?それともパワードスーツ?ギミックはどんな感じにしたんだ?おれはなー、シャルベーシャっていう翼の生えたライオンの神様のイメージでお願いしたんだけどさあ!どんな仕上がりになってるか楽しみだよな!パワードスーツになってたらヤバイよなー!超かっこいいじゃん!個性の相性的に断念したけど、ジャンプスーツもかっこいいよなぁ」
「シヴァ神か」
「そうそう!変身した姿のひとつ!破壊と再生を司る神様からイメージを借りたら無敵になれそうだろ!?それにライオンかっこいいしな。百獣の王!」
「いいんじゃねぇか」
九十九は天井に向かって拳を突き上げたままピタリと静止した。