第6章 未知との遭遇、初日から
「たのも~~~~!!!!!っじゃなかった、おはよう~~~~~!!!!」
「うるっせーんだよ朝からギャーギャー喚くなクソが!」
「おっ、勝己と同じクラスか。先が思いやられるな!」
「こっちの台詞だクソが!殺すぞ!」
「あっ!芦戸に尾白に蛙吹も!一緒のクラスだ!やったー!」
「なに無視しとんだコラ。100回死ね」
あまりの嬉しさにその場でぴょんぴょん飛び跳ねていると、左隣から控えめに名を呼ばれた。
「きゅうちゃんも同じクラスなんだ。よかった!」
朝から不機嫌MAXの爆豪の傍に、ふにゃふにゃとした笑顔の緑谷。考えるより先に体が動いていた。
「むぐうっ」
抱きしめた出久はやはり硬い。3年前の彼はこれ程筋肉質ではなかった。寧ろ髪質と同じくふわふわとしていて柔らかかった。ここに来るために、彼はどれ程努力をしてきたのだろう。
「出久~~~~~~!!!また3人同じクラスとかウケる。あっ、君は試験のときに出久を救ってくれた女子!」
出久の隣に立っていた栗色の髪の女の子が、入試のときと変わらぬ麗らかな笑顔を浮かべて手を振ってくれた。
「お茶子だよ。麗日お茶子。よろしくね。えっと、きゅうちゃん君」
「えっ......?名前まで可愛い......あ、おれ九十九です。きゅうちゃんはあだ名。どっちで呼んでくれてもオールオッケーなんで」
照れながらわたわたと無駄なジェスチャー入りで説明する九十九の肩を、真面目そうな眼鏡の男ががっしりと掴んだ。
「そろそろやめたまえ、彼が苦しんでいるだろう」
「あっ、ごめんな。痛かったか?」
パッと手を離すと、出久はぜいぜいと肩で息をしながら首を振った。出久を見るとついつい抱きしめてしまう癖をなんとかせねば。このままだといずれ抱き殺してしまうかもしれん。気を付けよう。
「きゅうちゃんの席、一番後ろだよ。席順は黒板に貼ってあるから」
「さんきゅー!えーっと、轟って人の後ろ?」
きょろきょろと生徒たちの顔を見渡しながら、教室の後ろへと移動する。いやあ、試験のときにも思ったけど、個性的っすね皆さん。