第3章 感動の、再会?
「久っし振りだ~~!確か小学校卒業以来だから……3年振りか?元気してた?……ってちょっと待って、なんか出久ごつくなってない?嘘だろ嫌だそんなあの可愛い出久がムキムキマッチョボディになるなんてお母さん認めませんからね」
ぐいぐいと押し返す手に抗いながら、隙を見て出久の頬に触れる。この掌に吸い付くもっちりとした柔らかさ。そのまま手を滑らせてふわふわの猫っ毛を堪能する。
「癒し」
「きゅうちゃんは相変わらずだね」
「いやいやいや変わったよね!?ちゃんと見て。よく見てよ!さ~てどこが変わったでしょうか!」
「朝からペチャクチャ喧しいんだよ退け石っころ共。俺の前に立つな殺すぞ」
突然背後から聞こえてきたドスの効いた声に、出久の肩がびくりと震えた。
「かっちゃん!!…おっお早うがんば張ろうねお互ががい…」
「おい、大丈夫か出久」
明らかに震え出した出久を背後に庇いながら、暴言の主を通すために道を譲った。売られた喧嘩は買う主義だが、今はタイミングが悪すぎる。もうすぐ入試が始まるのに、こんなところで喧嘩なんかおっ始めたら間違いなくつまみ出されるだろう。その喧嘩は後できっちり買ってやるからな。名前を聞こうと真正面から男を見据える。射殺さんばかりのガンを飛ばしていた男の表情が見る見るうちに驚愕の色に変わっていく。
「お前」
多分、おれも同じ表情をしていたと思う。
「あ、あれ!?その目つきと態度の悪さ……もしかして勝己!?全然変わってないな~!というか勝己もヒーロー志望なんだ!やっぱり!?もしかしたら会えるかもって思ってたんだよ。出久にも会えたし、すごいな、ここで3人集まるなんて運命だろ。絶対皆で合格しような!」
「……何でてめぇがここにいんだよ。仲良しごっこがしてぇんならデクとやってろクソが。つかお前は落ちろデクと共に」
「ひゅ~!その口の悪さでヒーロー志望とは恐れ入るね。いや~、おれもどうしても雄英受けたくてさ。だってオールマイトの母校だし、やっぱりヒーロー目指すならここしかない!って思って。それにしても今朝はこっち方面の電車が混んでて大変だったよ。って受験日なんだから当たり前か!はっはっは!そうだ、明日も休みだしこの辺を観光する予定なんだけど、一緒に行くか?ヒーロー事務所巡ったりしてさぁ。運良くヒーローに会えたらいいなー」