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【ONE PIECE】不可思議で愛しい日々よ

第1章 悪魔のより糸は解けない


私がこんなにも悩んでいるのに、サボ君は、完全にこの状況を楽しんでいた。こういうポジティブなところに腹が立つのだ。本来ならこの後恋人とデートするはずだったのに。仕事の関係で、月に2、3回しか会えない年上の彼と久しぶりに会うはずだったのに!なにが楽しくて同僚と二人、無人島でバカンスをしなければならないのか。怒りに任せて浜辺に落ちていた空き瓶を蹴っ飛ばした。

「いやー、一時期ジャングルで生活してたから、なんだか懐かしくって」

「ジャングルで!?どんな幼少期よ。サボ君の逞しさの原因はそこなんじゃないの」

「照れる」

サボ君は不死身の男だ。どんな危ない仕事でも必ずこなすし、どんな怪我を負っても必ず復活する。怪我をして帰ってくる度にはらはらさせられるが、しばらくするとけろっとした顔で次の任務を受けている。そういうところにも腹が立つ。サボ君は昔からそうだ。いっつもマイペースで、周りにどう思われようが構わず我が道を突き進むタイプだ。こちらの気も知らないで。ああ、もう、またイライラしてきた。
サボ君が寝転がったまま、目線だけこちらに向けた。照れると言いながら真顔である。

「せめて照れてるフリしてから言いなよ。というか状況を打開する方法を探そう。早いとこ助けを呼ばないとここで骨になる可能性が出てくる」

「どうする?狼煙でも上げるか?」

サボ君が体についた砂を払いながら立ち上がった。砂浜にサボ君型の跡ができている。なんだか気に入らない。後で踏んづけてやろう。私が無言で頷くと、サボ君はくるりとこちらに背を向けた。

「薪を集めてくる」

サボ君は、そういうと私を置いてさっさと森の方に歩いて行ってしまった。どうしよう、私もついて行こうかな。でも森の中は猛獣がいそうだし、暗くて怖そうだし・・・・私はとっても弱い。諜報員であって戦闘員ではないのだ。この持ち前の危機管理能力だけで生き延びてきたようなものだ。その勘が告げている。森に入ったら確実に死ぬ、と。よし、そろそろお腹も空いてきたし、こっちに残って魚でも取ろう。そう意気込んでいたのに、サボ君が20歩程離れたところで、こちらを振り返った。
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