第5章 過去
「落ち着いたら戻ってきてね」
潔子先輩はそう言い、この部屋をあとにした。
昨日のままだった服、お風呂にも入っていないから、ここの施設の人にお願いをし、シャワーだけ入れさせてもらった。
落ち着いた時にはもう昼を過ぎていた。
「おなか空いたな…。」
ほっとするとお腹が空いていることに気づいた。
今行くとちょうどみんながご飯食べているところかな…?
こそっと食堂を覗いてみた。
案の定ごはん中だった。
入りにくいなぁ…。
なんか仕事もしていないのにご飯を食べに来た感じ。
もっかい部屋に戻って、皆が食べ終わるまで待っていようかな。
そう思って踵を返そうとしたときだった。
「さん!もう大丈夫なんですね!」
食堂から外に出ていたのか、帰ってきたらしい武田先生に声をかけられた。
「あ、はい。お騒がせしてすみませんでした。」
「大丈夫ならなによりです!さ、お腹も減ったでしょう!おひるごはんを食べましょう!」
ぐいぐいと背中を押されて食堂に入る。
「さん!!!」
「!!!」
皆が私のそばに駆け寄ってきた。
「あの…その…いろいろとすみませんでした…。」
たくさん皆に迷惑をかけてしまった。
練習を邪魔してしまったはず。
深々と頭を下げて謝った。