第5章 過去
「すみません。子供みたいに…。」
「大丈夫よ。落ち着いた?」
潔子先輩に抱きしめてもらったうえ、背中を撫でてもらってしまった。
この様子を田中と西谷はうらやましがるだろうな。
なんて。
そんなこと考えれる余裕ができた。
落ち着いたのかな…。
「あ、あの、潔子さん、マネージャーの仕事は…!?」
「あぁ、今は仁花ちゃんに任せてるよ。今はそこまで仕事はないからね」
「すみません…。私のせいで…。」
仕事を仁花ちゃん一人に任せてしまってるなんて。
しかも、慣れない合宿の環境で。
私は年上なのに…。
本当に申し訳ない。
「今は、ちゃんが落ち着くことが一番。忘れちゃいけないのは、ここにいるみんなは、ちゃんの味方だからね。」
「潔子先輩…。」
じわっと心にしみる言葉。
凍っていた心がじわじわと、溶けていく。
私、ここに来てよかった。
烏野のバレー部に入ってよかった。
「ありがとうございます…。」
またぽろぽろと涙があふれてくる。
「あぁ~汗」
また潔子先輩が背中を撫でてくれる。
「潔子先輩~大好きです~(泣)」
「ありがと(笑)」