第5章 過去
どうしよう…どうしよう……
その時だった。
――コンコン
「は、はい…」
「あ、ちゃん起きた…?よかった!!」
潔子さんが入ってきた。
「潔…子、先輩」
「倒れたって聞いて心配したわ。」
「あの、潔子先輩…私…」
「昨日のこと」
――ビクッ
「あの…私…」
「私はね、関係ないって思ってるわ。それも、みんな一緒。」
「え…?」
「ちゃんは、ここにきて一生懸命頑張っている。まだ数か月しか見てないけど、ちゃんはいい子だよ。仕事だって頑張ってる。大丈夫、心配しないで…。」
潔子先輩はニコリと私に笑いかけた。
私は、大丈夫なの…?
ちゃんとやれているの…?
「あとね、あのあと澤村はあの子たちに『は今はそんな奴じゃない。は頑張っているんだ。彼女の邪魔はしないでもらえるかな』って言ってたわよ。そしたらあの子たち、ばつの悪そうな顔をして帰っていったわ。」
「え…?澤村先輩が…?」
てっきり私はもう見放されているかと思っていた。
嫌われているかと思った。
もう戻れないかと思っていた。
でも、潔子先輩、澤村先輩は違った。
私の今の姿を見て信じてくれた。
過去の私を引きずることなく。
「潔子…先輩っ…」
ボロボロと目から涙があふれた。
誰かに今の私は大丈夫だって言われたかった。
誰かに手を差し伸べてもらいたかった。
「うわぁあああん」
思いがあふれて、私は幼児のように声を上げて泣いてしまった。
潔子先輩は優しく私を抱きしめてくれた。
背中も優しくさすってくれた。