第5章 過去
「いきがってんじゃねぇよ」
ぼそっと聞こえた声。
「え…?」
「あんたさ、自分が偉いとでも思ってんの…?」
「怒りしか私らにぶつけないじゃん」
「だってそれは、あんたたちが練習不足で…」
「はぁ!?確かにそうかもしれないけどさぁ、あんたのせいだって思ったこともねぇの?」
「私の…せい…?」
私はこの部のために、金賞をとって全国行くためにやっているのに、何言っているの…?
「誰もあんたの見方なんてこの部にはいねぇんだよ」
「毎日罵声浴びせられてるこっちの身にもなれよ」
最初の言葉を筆頭に部員全員にぶつけられた言葉。
思ってもいなかった。
感謝はしていないの…?
『誰も味方はいない』
周りを見ると私への目は敵を目にしているかのような目だった。
怖くなって私は音楽室を飛び出した。
後ろから聞こえるのは笑い声。
もう私はあの音楽室へ行くことはなかった。