第4章 合宿①
午後になるとさらに暑さが増してきた。
休憩の時用にミニタオルを水で濡らして少しでも涼しくしなくてはと思い、バケツにタオルを入れ蛇口があるところへ向かった。
蛇口のあるところを着くと、男子バレー部ではない人たちがいた。人がいるなら、はやく終わらせなくちゃ。
そう思って思い切り蛇口をひねった。
じゃばじゃば洗っていると
「あれ、じゃない?」
「あ、ほんとだ」
え…。私の名前…?
振り向くと知っている顔がいた。
なんで…。学校は名古屋のはず…。
なんでここに…?
「な…んで…」
「合宿~。次マーチング全国だから、やってんの」
「てか、は、何してんのぉ?」
「え、何、何かマネージャー?wwwウケるんだけど」
「てかできてんの?」
「無理じゃね」
「だって、うちらを責めるだけ責めて逃げたもんな」
――――ドクン
心臓が鈍く波打つ。
『責めるだけ責めて逃げたもんな』
嘘偽りない言葉に血が引いて体がガタガタ震えきて体が、口が動かない。
思い出したくもない過去。
ぐるぐると過去に戻されていく。
「あ、いたいた~。どうしたの、ちゃん」
しばらく来なかったことを心配したらしい黒尾先輩が私を探しに来た。
黒尾先輩の言葉にハッとする。
「な、何でもないです…。今行きます…。」
タオルを濡らすことはできず、そのままその場を立ち去った。