第43章 煙 くゆりて 人 攫う
「よし、もう少し詳細が分かり次第、
秀吉は京の今小路二条家へ行け」
「はっ」
「怒り狂った信長が どうするか、
実際に目にモノ見せてやろうではないか」
政宗の心中を代弁した信長が笑い、
皆、強い眼をして頷いた。
瑠璃が越前に着くのが先か、
織田武将隊が探し当てるのが先か…。
源蔵の文を頼りに越前方面を広範囲に探す指示が出され、各地に放ってある 斥候、間者、忍 が一斉に動き出した。
「旦那っ」
港で働く者達が、身成の良い男に 頭を下げる。
「皆、精が出るね。船や荷の様子はどうだい?」
「へぇ、旦那のお陰で船も多く出入りし、
荷も多く 潤ってますよ」
「おや、旦那!今日は様子見でっか?」
次々とに声がかかる。
「今日も、ご苦労だね。そうだね、近々大事な客が来るんでな」
船問屋の主人だろうか、皆に慕われているようだった。