第43章 煙 くゆりて 人 攫う
光秀の言葉に皆、眉を寄せた。
「一向宗が人を攫って売ってる?」
「まぁ、アイツらならやりそうな事ではあるな」
確認するような秀吉とは反対に、
政宗は、さも、ありそうな事だと、頷いている。
攫って来た女子供、更には男も流されていると言う。
「どこへ」
「大きな屋敷や遊廓だ」
光秀も当たり前の様子で、渋い顔の秀吉に答える。
「と、まあ、ここまでは良くありそうな話だが、
気になるのはこの続きだ」
斥候、間者が集めてきた話はまだあるらしい。
「大屋敷、遊廓に売られる者とは別に、
国外にも売られて行く者もいると言うのだ」
光秀が三成に視線をやる。
「!まさか、越前越中の船の数と関係がー…」
「ありそうだな」
光秀がニヤリと笑う。
「そして、もう一つ、
皆、だらしなく姿を失くして船に乗せられて行く と言う」
さすがの光秀も考えるように腕組みをし、
信長も眉を顰めて聞いていた。