第43章 煙 くゆりて 人 攫う
「文が1通添えられている。
『都鳥 冬待たずして 北へゆく……』か」
「それだけですか?下の句がありませんが…
…みやこ鳥…都どり…」
信長が読んだ文の句を、三成が首を傾げながら、ブツブツと呟きながら何度も復唱する。
「…みやこどり…みやことり………」
「政宗、この刀、柄も鍔も、鞘さえも未完成だぞ」
包みを取り去って現れた刀を見た秀吉が、
訝しげな声を出す。
「刃もなかったりして」
「その鞘の中の何処かに、何か詰め物はないか?」
家康のその一言に、何か閃いた光秀が、
目を細めながら刀を見た。
「あ…」
光秀に言われ、秀吉が刀を抜いてみれば、
押し込まれていた紙切れが溢れ出てきた。