第43章 煙 くゆりて 人 攫う
(早く、早くっ、信長様にっ、政宗にっっ)
美弥はお夕の手を引いて城へ走る。
全速力で。
門番へ断りも、声も掛けず走り抜け、
城内なのも構ってはいられない。
走って駆け上がって、天主の信長の部屋の襖を、
思いっきり開けた。
すぱあぁぁぁーーん‼︎
「相も変わらず 騒々しいな 美弥」
驚きもせず信長が、血相を変え 駆け込んで来た美弥を笑う。
「お顔が真っ青ですが、どうなさいましたか、美弥様」
「美弥、城内は走るな といつも言っているだろう。何処から走ってきたんだ?」
ハァハァ と荒い息が整わない美弥。
喉がカラカラで声が出ない。