第7章 義臣と疑心
「私と並んで歩くの、嫌だった?
私なんかじゃ、政宗に釣り合わないから
恥ずかしかったよね……」
悲しげな表情で政宗を見上げる瑠璃。
(……コイツは……)
マジマジと瑠璃を見るが、本当にそう思っている様子だった。
「嫌だったら、最初から誘わないだろ」
「じゃあ……」
政宗は溜息を吐きながら、白状する。
「皆がお前を見てたからだ」
照れ隠しに顔をそむける政宗。
だが、瑠璃は政宗の予想外の言葉を
至極真面目な顔で発した。
「まさか!それって、私じゃなくて、
政宗を見てたんじゃないんですか?」
政宗絶句。
「…………」
開いた口が塞がらず、あんぐりと瑠璃を見る。
「……皆ってのは、主に野郎だがな……。
だから、お前をそいつらの目に触れさせたくなかったんだ」
そんな政宗に今度は瑠璃が無言。
「…………」
無言の末に目をパチクリさせて言った。
「政宗ってば考え過ぎですよ〜。
私なんて見ないでしょう〜?
そんなとびっきりの美人でもないですし。
だから、背中に隠す必要なんてないですよ」
(美人じゃないって……
じゃぁ、どんなヤツが美人なんだ…)
またしても政宗絶句。
(無自覚だ…
自分を知らなすぎるって言うか、
過少評価してやがる)
「でも、良かった。
政宗に嫌われたんじゃなくて」
目を細めて笑う瑠璃に、
政宗はガックリと肩を落とした。