第7章 義臣と疑心
露店や店を見て回って、暫くすると…。
最初は並んで歩いていたはずの政宗が、
瑠璃を背中に隠す様にして、
半歩前を歩く様になった。
引っ張られる様な格好になった事に、
瑠璃も気付いた。
(並んで歩くの、嫌だったかな?
私と一緒なの恥ずかしかったかな……?)
そう考えてちょっと悲しくなった瑠璃は、
下を向いて、後をついて行った。
町中を回って小腹も空いた頃
「瑠璃、ちょっと待ってろ」
町外れの茶屋へ立ち寄って、政宗は饅頭と団子を買ってすぐに戻って来た。
「待たせたな。
もう少し頑張って歩け。直ぐそこだ。」
何処に行くとは言わず、そう言うとまた歩き出した。
それから、10分ほど歩いただろうか
「わぁ〜、綺麗!
一面の花畑ね‼︎
自然にこんな花畑が出来るなんて、
あり得なーい!」
瑠璃は瞳をキラキラさせて花畑を眺めると、
花畑目掛けて走り出した。
「転ぶなよ!」
「大丈夫!」
童女みたいな笑顔を見て、政宗も笑顔を浮かべた。
(本当の笑顔か……。
色んな笑顔を持ってるからな。
俺が、覚えておいてやるよ)
政宗は瑠璃の笑顔を眩しげに眺めていた。
いつか自分にもその笑顔を向けて欲しいと、
想っている事に気付かないまま、
そう思っていた。