第7章 義臣と疑心
政宗は瑠璃を連れて呉服屋を訪れた。
「これはこれは、政宗様。
お呼び頂ければ、参城いたしましたのに」
呉服屋の主人が頭を下げる。
「いや。城下を見て回るのも俺の仕事だ」
あたかも、の様に言った横から
瑠璃が口をしれっと挟んだ。
「じっとしているのが性に合わないって
言えばよろしいのに」
そっぽを向く瑠璃に
「どの口が言ってんだ?
お?喧嘩売ってんのか?」
と政宗が瑠璃の頬を両方から引っ張る。
「ましゃむねは、しゅなおにゃのが、いいって、いいちゃかっちゃのにぃ〜」
「嘘言え。
お前は言い訳も上手いなぁ〜
俺はお前が喜ぶと思って連れ出してやったんだぞ。
それなのに、そんな口利くとはなー」
容赦無し。
「のひちゃう〜」
「もっと伸ばして餅にする」
引っ張ったり縮めたりして、笑う政宗。
「まぁまぁ、お二人とも。
お城が退屈なのはよう分かりました。
それで、今日のご入用は何でしょうか?」
主人が微笑みながら円く収める。