第7章 義臣と疑心
(私が嫌いだ、卑怯だ)
自分と母の姿が重なった。
(嘘つき!)
ギリリッと歯を噛み締め、鏡を睨みつけた。
その時、
直ぐ後ろから
「誰か殺すのか?瑠璃」
と、政宗の声がした。
ビクッリと身体が揺れた。
音も無く入ってきたのか、自分が気付かなかったのか。
政宗は開けた襖に寄りかかり、腕組みをして様子を伺っていたのだ。
それに取り繕うでもなく
「母を」
鏡に映る自分を見ながら笑った。
「母上が嫌いなんだな」
政宗の問いに、笑顔で肯定する。
(母の笑顔には裏がある……
いつの間にか、それは今、私にも…)
鏡の中の自分はなんと醜いのか…
そんな母と似た自分も無くなれば良いと。