• テキストサイズ

《イケメン戦国》未来から来たお姫様

第7章 義臣と疑心





朝餉の片付けと、言い使った仕事を終えた瑠璃は、薄萌黄色の着物に着替え、髪をサイドアップにまとめあげた。


「髪飾り、欲しいな…」
鏡に映った自分を見ながら、ふと思い出す。

今と似た色、若草色の着物を纏った日、
「すぐにお嫁に出せるわ。瑠璃、
綺麗よ」
母がそう言って、鏡越しに笑った。

(母の笑顔にはいつも心が警鐘を鳴らして
いたわ…)

あの時その目は笑ってはいない様に見えた。
品定めし、画策している様な目。
(私の嫌いな人っ)

そして、今朝の自分も…。
嫌気がさしていた。

疑い、勘ぐり、邪推する。
人の考えを先読みして、
心を隠す言葉を選んだ。
自分が、相手が傷つかないような、
時には傷つくような言葉を、
心にも無い言葉をこの口から吐き出す。

あの家で人間不信に、
いや、母親不信になった。
1番近くにいる母に1番気を許せなくなった。
母の一挙一動を警戒するようになった。
それはいつの頃からだったか、
忘れた…。


/ 1530ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp