第7章 義臣と疑心
政宗は考えた。
「瑠璃、もう怪我はいいだろ?
城下へ連れてってやるよ」
話題を変える。
「いいんですか?嬉しいっ」
餌に飛びついた猫だ。
提案に裏はあれど、その花のような笑顔が見れて一旦、ここは満足する。
「一仕事終えたら呼びに行く」
「それでは、私も朝餉の片付けを終わらせたら、準備をしておきます」
踊る心を抑えているのが分かる程
嬉しそうだった。
そんな瑠璃を見ると政宗も頬が更に緩む。
(何でもないのは、表に出すクセに。
…本当に困ったヤツだ)
「ただし、俺の馬で行くぞ」
「え⁉︎あ、はい」
瑠璃は何故か動揺して下を向いてしまう。
その様子に政宗はムッとした。
(嫌なのか?)
「一人で乗っちゃダメですか?」
「何で?
ダーメーだっ。怪我、治ったばっかりだろ。
それに、袴 無いだろう」
「あ…そっか…そうでした…」
顔を上げた瑠璃は、頬を桃色に染めて恥ずかしそうに笑った。
(お?何だ?その表情…)
瑠璃の表情を見た政宗にも、なぜか瑠璃の頬の色が伝染していた。