第38章 戦勝し戴天に近づく
「……そうか、さすがに、大将が自害の見本を見せられはしないよね。…じゃぁ…」
家康が頷いてやれば
「ゔっ、ぐぅぅッ……」
久政と共に囲まれていた家臣がもんどり打って、
次々に絶命する。
「俺、案外、気が短いんだよ💢」
ジロッと睨みつけられ、刀を構え直した家康の本気を見たのか、久政が終叫しながら、逆手の刀を振り上げた。
「おっのれぇぇぇーーっっ!」
鋭利な切先が久政 自身の胸を貫いて、
ゴドッ…………と真紅の畳に首が転がる。
ドサッッ と重い音がして胴体が倒れた。
続いて浅井惟安ら数人の重臣も後を追って自害し果てた。
家康は久政らの骸を清寒に瞠視する。
(俺はこうはならない……)
その為に強くなる。
家康はを足元に転がった久政の頭部を退けるように、
ちょっと足で蹴り押した。
冴え冴えとなんの感情も見せず歩きだす。