第38章 戦勝し戴天に近づく
武器、食料、兵士などが備蓄されている曲輪。
小谷城は城の構造上、本丸と小丸を繋ぐ場所にこの曲輪が築られている。
手始めに此処を落としてしまえば、本丸 小丸は備蓄品の補填が出来なくなるのだ。
曲輪 京極丸はあっという間に秀吉に占拠された。
3千の兵に6百の兵がどう足掻いても勝てるはずがない。
京極丸の内は、天井、壁、畳、上下四方 全てが血で赤黒く塗られていた。
当然ではあるが、城内の狭い部屋、廊下での闘いは野外よりもずっと、酷く惨殺※で虐絶※として見える。
秀吉は眉をキュッと寄せ、唇を引き結んで、
その惨状を厳色と苦しげに見てから、
強い意志を宿した瞳で踵を返した。
(一刻も早く、この世の平定をーー…)
信長に託す想い。
※惨殺…むごたらしい殺し方。
※虐絶…この上なくむごたらしい。