第38章 戦勝し戴天に近づく
最終決戦は小谷城。
麓が物々しく、戦の装いを纏っていた。
浅井軍が城を捨て逃げ出しても、ここで一網打尽にする作戦で 、麓、山の中腹に兵を潜ませて配置し、秀吉、光秀は少数精鋭を連れて小谷城を目指して進んでいた。
「玉瑛、足元気を付けろ」「はい」
「そこ、滑るぞ」「はい」
「辛くはないか?」「はい」
こんな遣り取りが瑠璃と合流してからずっと続いている。
さすがに嫌気がさした光秀が口を開く。
「小言の多い男は嫌われるぞ」
「小言じゃない、気遣いだ」
心外だと言わんばかりで秀吉が振り返り光秀を睨む。
「要らぬ気遣いは御節介で小言だ」
さらに光秀が挑発するので、瑠璃は困った顔をしながらも、助け舟を出す。