第38章 戦勝し戴天に近づく
「ちょこまかとよく逃げるヤツだな」
半ば呆れ気味の政宗。
「逃げ切れる訳ない、の、に……ん?」
家康が何かに気付く。
「来たか」
信長がほくそ笑んだ。
「朝倉の狸を炙り出すぞ」
そう言った信長は朝倉の息のかかった一乗谷市街地を衝撃制圧し、武家屋敷から順に火をかけた。
繁栄の街は跡に何も残らない程に消失。
轟々と燃える炎に歪んだ笑みで信長が問う。
「守備はどうだ」
「大野郡司 朝倉景鏡は コチラに付くと」
フンワリと笑って答えるのは
「三成、褒めてつかわす」
「遅くなり、申し訳御座いませんでした」
「よい、間に合ったのでな」
朝倉義景の従兄弟である景鏡は三成の懐柔により、織田に寝返った。