第38章 戦勝し戴天に近づく
後方左右から家康、政宗が朝倉軍を追う。
「後側を固めろーっ」
「利根坂は目の前だ、下れ、下れーーっ」
朝倉軍が向かう方向を見て、家康、政宗が笑った。
峠を越え、経路である利根坂へ向かい下る
朝倉軍を待ち受けていたのはーーー……。
「来たな」
魔王 織田信長。
「⁉︎…なっ、何故っ」
義景が蒼白に絶句する。
家康、政宗に追われ、義景が逃げ回っている間に、信長率いる部隊は麓を回り、山中にいる部隊より先に利根坂に到着し、待ち伏せていたのだ。
信長は朝倉軍へ織田の息のかかった者を侵入させ、内部懐柔工作をし、戦意を削ぎ混乱させ、情報を聞き出していた。
今、敵武将の心中は、
『もはやこれまでか…』と死を覚悟する、
義を重んじ、徹底抗戦を考える、
寝返ることで、命と家を守ろうと考える、
様々な思いがせめぎ合っていることだろう。