第38章 戦勝し戴天に近づく
警戒し、慎重、それでいて足早に山中の獣道を掻き分けて行く集団がいた。
「義景様、お早くっ」
家臣か急かす。
命からがら逃げ来た砦の兵士から、
大獄砦と丁野砦の陥落を聞き、朝倉本軍は撤退を決断。
夜明け まだ、薄暗い時刻。
「城を出た……か。行くぞ」
信長も立ち上がった。
「家康、政宗。二手に分かれ側方から追い込め」
「「はっっ」」
応じた家康と政宗がすぐさま兵を整えた。
「最大限に兵力を削ってやれ」
「オォォォーっ」
家康に呼応する兵士達。
「お前らが死ななきゃ、相手は全壊させて構わねぇぜ!」
「おおぉぉー!」
政宗の過激な鼓舞に兵士達は威勢良く応える。