第38章 戦勝し戴天に近づく
先に気付いた光秀が苦笑とため息を漏らす。
「ひーでーよーーまっ!みつひ……さまぁーっ!」
姿と声をハッキリと確認し
「⁉︎…瑠璃っ!」
秀吉が目を剥いて驚いている。
「秀吉様!光秀様!」
馬を停めて、軽々と飛び降りると、
小走りに駆けて来て、
「三成様からです。どうぞ、秀吉様」
胸元から文を取り出し、頭を下げながら秀吉へと差し出した。
文を手に取る秀吉をみながら、
チラッと光秀に視線を送って、
悪戯っ子のように ちょっと笑う瑠璃。
その視線を受け取って、光秀も片方の口角を上げてみせた。
光秀に文を渡しても良かったのだが、
2人の仲などを察していた瑠璃は秀吉を立てたのだった。
瑠璃がそこまで考えているとは、
毛頭、露ほどにも思わない秀吉は、
無言で文に目を通し、光秀に文を渡している。
「ところで、何でお前が届けに来たんだ?」
秀吉に尋ねられ、瑠璃は此処までの経緯を話した。