第38章 戦勝し戴天に近づく
一旦 美弥と共に退(さが)った瑠璃だったが、
三成の事が気になって、もう一度、
改めて 部屋を訪ねていた。
「三成様を悩ませているのは、この文の中身ではなく、これをどうやって届けるか、ですか?」
「瑠璃様…」
今しがた 退(さが)ったばかりの瑠璃の声が、
側で聞こえて来て、少々 驚いた様子で、
菫紫の瞳を瞬く。
「どうなさったのですか?とは今更でしょうか。
瑠璃様には隠せませんね」
三成は苦笑いだ。
この度の戦で政宗が居ない間、
瑠璃は三成の側で戦策を見ていた。
(まさか、女の方と戦術の話をする日が来ようとは……)
小姓姿で座ってはいるが、麗雅な端座は男性ではない事を如実に示していた。