第38章 戦勝し戴天に近づく
京を後発した秀吉と光秀は、信長を追って水上から北へ向かっていたが、風雨の為 途中、今津に停泊していた。
「次の指示が来ないな」
「この雨風では致し方ない」
「このまま待つ訳にはいかねぇだろ」
「そうか?」
「お前はどうしていつも、そう、しれっとしてるんだ💢」
「苛々しても仕方あるまい」
「……」
2人の仲で会話が少ないのは仕方が、
なんとも気まずい雰囲気を作ってしまうのは、
いつも秀吉の方だった。
安土本体からの進行指示が滞っていた。
「信長様の朝倉浅井攻めはどこまで進んでいるのか……」
「浅井が籠城しているのは小谷城だが……
どう攻めるおつもりかが、わからないからな」
秀吉も光秀も、思案顔で吹き付ける雨空を見ていた。