第38章 戦勝し戴天に近づく
恨めし気に信長を睨めば
「俺にも仏心があるというのを見せてやろうと思うてな」
ニヤッと人悪く笑われる。
「っ、くっっ…くっそぉぉーーっ」
「自害するなり、逃げ帰るなり、助けを求めるなり、好きにするが良い」
敗兵として、殺されも、捕らえられもせず、
逃がしてやる と言われ、悔しさが滲む。
「……その余裕っ、後悔しても知らんぞっ!」
憎悪の眼差しを受けても、余裕に笑う信長に、
解放された兵将は、捨て台詞を残して走り逃げ出した。
それを追って続く数人の兵の後ろ姿を、
信長は愉快そうに見送った。
(朝倉の元へ戻るが良い)
くっくくくく……