第38章 戦勝し戴天に近づく
「虚襲戦で朝倉の士気を下げろ」
信長は浅井の小谷城と朝倉の陣取る地との間に陣を張り、朝倉を盛んに挑発牽制する。
「降伏勧告を送ってやれ。
拒否するなら、少々遊んでやろうではないか」
余裕の信長と苛立ち焦る朝倉が睨み合って数日。
その日は朝から雨風が激しく、嵐のような暴風になった。
「これではお互い打って出れはしまい」
朝倉はホッとひと息ついて笑っていた。が、
「好機(チャンス)だ」
大胆不敵。
信長はこの暴風雨の中、打って出ると決断した。
「おそらく、敵(朝倉軍)は油断しているだろう。
今、奇襲をかけるぞ。抜かるなっ」
信長 自ら、暴風雨の中 馬に乗り、
千人の手兵 騎馬のみを率いて、
朝倉側の守る砦へと奇襲をかけた。