第36章 戦雷落ち 戦命霧散
「家康と秀吉が戻ってくるぞ」
「本当ですか⁉︎良かった〜。
二人共無事なんですねっ」
信長の側に居た美弥が手を叩いて喜ぶ。
「完全勝利でないのが悔やまれるがな」
「怪我とかしてるんですか?」
美弥が青ざめる。
「闘わずして退却した。
軍内 又は身内に何か問題でも生じたのであろう。
その辺りは追い追い 探らせるとする」
「それじゃぁ、怪我とかの心配は無いんですね、良かった!」
話が噛み合っているのかいないのかよく分からないが、美弥は青ざめた後、すぐ安心し和らいだ笑顔になった。
「相も変わらず、貴様はいつも忙しいな」
美弥の百面相を見る信長が笑う。
「美弥、家康、秀吉に怪我はなだろうが、
家康が率いていた軍の負傷者は多い。
忙しくなるだろう。頼んだぞ」
「はい!任せて下さい」
美弥は大きな瞳に強い光を湛えて、
力強く返事をした。