第36章 戦雷落ち 戦命霧散
まだ幼少の三好家主君 長治 を補佐し、
支える身として、この書簡の内容は、
長房自身の立場をも悪くしかねない事だった。
それは、
三好家前主君の妻であり、現主君 長治の生母(実母)である女性、岡本牧西の娘 小少将と長房の弟の篠原自遁が『通じ合う仲である、要は姦通している』と言う事が書いてあった。
誰から何処から届いたのか分からない、
その書簡がきっかけとなり、幼い主君の周囲で三好家内紛が勃発。
正しく箴言した長房が討伐の対象となってしまった。
「母の願いです…。長房を遠ざけて頂戴。
その力で謀反を起こすやもしれません…」
小少将は 氏 は違えど3人の自分の息子にそれぞれ、そう口にした。
その小少将の懐にも、誰から届いたか分からない1通の書簡が仕舞われていた。
銀狐は女狐を惑わし、拐かし、
まんまと畿内から三好を追い出す事に成功し、
信長包囲網の綻びを作った。