第36章 戦雷落ち 戦命霧散
一方、秀吉が駆けつけた三河 家康布陣では、兵力増加に伴い、交戦再び、五分五分に押し返して、睨みあっていた。
「動かないな…」
「もう、3日ですよ」
高台へ陣を張り直し3日。
平野に陣取っている武田軍の動きが、突然ピタリと止んだまま。
まんじりとした時間だけが過ぎてゆくーー。
時を同じくして、その頃、
動いたのは畿内
「光秀様、三好が畿内より撤退の模様」
「クククッ……ッ。女狐は妖狐の姿を現したようだ」
光秀自身が狐の様に、金色の瞳を細め、
肩を小さく揺すって、怪しく笑う。
「なっっ…三好に仕える身として……これはっ……」
どこからか届いた書簡を握り締めながら、
ワナワナと怒りに身体を震わせたのは
四国 阿波、上桜城主 篠原長房。