第36章 戦雷落ち 戦命霧散
三成に全権譲渡し出陣した信長小隊は、あっと言う間に京に入り、二条城に立て篭もった将軍と、それを支持する公家方が多く住まう、上京区から市外地一帯を焼き払った。
その足で近江進軍、百済寺を焼き帰還に至る一連は、戦にしては、至極 短期間であった。
電光石火の早業。
それとも雷厲風飛※(らいれいふうび)と表するか。
はたまた、風馳電赴※(ふうちでんと)と呼ぶか。
信長のこの移動、攻撃の速さが、
短期間に勢力を拡大させ、天下布武への
野望を抱かせ、現実を帯びさせる要因であった。
光秀の所にも斥候から、信長の行動は逐一報告が入っていた。
「『再挙兵を待ち、朝を迎える』とのことですが、どう言う意味でしょう」
報告に来た伝達係が首を傾げるが、
光秀はただ 怪しく笑っているだけだった。
※雷厲風飛…雷のように激しく風のように飛ぶ。の意から、政策などの遂行に猛進すること。
※風馳電赴…風のように駆け、稲妻のごとく、非常に速くはせおもむくこと。