第36章 戦雷落ち 戦命霧散
ふふふふふ……
小さく肩を震わせ笑うと、手にしていた
2通の文を、信長は目の前に座っている
三成に放り投げる。
「近淡海の水運権が我が手に入った。船を用意しておけ」
「はっ。
流石は光秀様です。一向宗徒と甲賀勢力も併せて削られましたね」
戦闘の報告に似つかわしくないほど、
三成は甘く微笑んだ。
1通は石山、今堅田を落城させたと言う光秀からの文。
「足利が京へ向かった。俺も京へ出る」
もう1通は摂津国 荒木氏からで、足利将軍が
進軍に踏み切った、と言う知らせだった。
「御武運をお祈り致します」
三成が頭を下げた。