第2章 女神の正体
「俺の城。青葉城だ」
瑠璃は黙って何かを考えている。
そして
布団の上で佇まいを正す。
正座をし政宗に向き直った。
(お?何だ?)
政宗はギョッとして構える。
「伊達家17代当主 伊達藤次郎政宗様。
助けて頂きありがとうございます。」
瑠璃は深々と頭を下げた。
(俺は名乗ってない。なのに俺を知ってるのか)
「瑠璃、お前は何者だ。
何処から来た?
何故 俺を知ってる!」
政宗が、殺気立つ。
大の男でも震え上がりそうな殺気。
しかし、顔を上げた瑠璃は、恐れる風でもなく、
ニッコリと笑って、おっとりと答える。
「だって、その片目。
青葉城の城主 独眼竜伊達政宗って言えば、
有名ですし。
皆知ってますから、間違えるはずありません」
瑠璃は的はずれの様な、当たりのような
不思議な答えと共に、柔和な笑みをみせた。
「はぁ?」
政宗の殺気が萎んでゆく。
戦場で弓を引いていたのと同じ人物とは思えないほど、
無防備で幼い笑顔の瑠璃
(この感じの人間知ってるぞ。
安土に居るアイツに似てる気が…
着ていた物、
側にあった見たことのない荷物袋。
間違いないだろうな……)
確信めいたものを胸に、政宗は瑠璃に問う。
「お前、500年後から来たのか?」
政宗に問われた瑠璃は、キョトンとし、
首を傾げてしばし考える。
「ーーーー………そう……かな?
えーっと、戦国時代から、500年くらい後の日本から……
来た?って、え?どう言うこと⁉︎
え?え?あれ?なんで?」
答えようとして1人 パニックを起こす。
(今、そこに気付いたのか⁉︎)
目の前には、天井をみたり、下を向いて
唸ったり、頬を挟んで、えー、あー、んー、
とか言っている瑠璃
「あー瑠璃。
飯 喰ってから考えてたらどうだ?
用意が出来てる」
吹き出しそうなのを堪えながら、
政宗が助け舟をだすと。
「あ、そうですか。
そうですね。はい、ありがとうございます」
と、慌ててよく分からない礼を述べられた。