第36章 戦雷落ち 戦命霧散
「敵襲ーー‼︎」
「武器を取れぇぇ!」
未完成の石山砦の城内が慌ただしく動き始める。
「こんな夜中にか⁉︎」
「虚襲じゃないのか?」
「灯を増やせーっ」
「どっちからだ?」「正門を固めろー!」
真夜中の襲来に慌てふためき、
怒号が上がり、兵が右往左往する。
ヒュッ ヒュッッ
矢が飛び込んで来て、身構えるが……
それっきり攻撃がない。
次の攻撃、襲撃に備え、完全守備体勢で待つ。
…2刻……3刻……5刻……
砦の内で兵士達は眠れぬまま朝を迎えた。
砦の外では、数人の兵士が暗闇の草むらに身を潜め、気が向いた時に、矢を放ったり、足を踏み鳴らしたり、時には鉄砲を発砲したりしていただけだった。