第6章 帰城後から帰城に
翌々日
いつもの様に動き回れない瑠璃は、
縁側に長机を運び出し、琴を置いて、足を伸ばしたまま、弾いていた。
正確には長机と琴は光秀が運び出してくれた。
弦の上を撫でるように優しく滑り、
行き来する白い指が、美しい音を奏でている。
その傍で光秀が玩具の様な回転式の銃を弄んでいる。
「この小さな銃の弾をどうやって飛ばすか…
これをどう作るか……」
(試打はどうするか……)
光秀は考えていた。
この銃を分析し作ることが可能ならば。
(一度に多くの敵を片付けられる…ならば)
増産する価値はある。
安土城に持ち帰り、技工士の下に持っていくのが最善かと。
思案の光秀に
「光秀様、何か楽しい事でも考えていらっしゃいますね」
と、瑠璃が言う。
「楽しい事とは具体的になんだ?言ってみろ」
「当てますよ、いいんですか?」
瑠璃の指先が不協和音を掻きだす。
光秀は楽しみに言葉を待っている。
「その銃の可能性について。
連射式銃はどれほど役に立つでしょう」
疑問形とも肯定ともとれる語尾で瑠璃は首を傾げてみせる。