第6章 帰城後から帰城に
(お?思い立ったらすぐ行動なのか?
でも、行かせてやらない)
「身体痛くて歩けないのに、光秀を探し回るのか?
アイツなら後でふらっとやって来るさ」
今日もあれから何処に行ったのか、行方をくらましたままだ。
立ち上がりかけた瑠璃の肩を押して制する。
肩を押す政宗の蒼い瞳を見て
(少し、澄んで来た?刺々しさも抜けた感じだけど…まだ…)
そっと息を吐くと
「……それもそうですね。
会ったら謝ります」
と笑った。
政宗が「此処に居ろ」と言ってる気がして、
瑠璃は光秀の事は諦めた。
政宗は満足した様子で笑った。
目は口ほどに物を言う。
(行くな、って強く言わないのは、政宗なりの優しさなのかな……?)
物を言ってても真意が真っ直ぐ伝わらないとどうしようもない……。
そうして、瑠璃は政務をする政宗の部屋で何をするでもなく、働く政宗を見ながら少しの間過ごした。
一方、政宗が行方知れずだと思っていた光秀はと言うと。
地下牢で今朝、自分が縛り上げた相馬の残党と対面していた。
「事は相談だが…」
足軽程度の残党になんの相談だと言うのか……
それでも光秀は底の知れない笑みを湛えて牢の中を見ていた。