第6章 帰城後から帰城に
それから、しばらくして
「ごめんなさい、政宗。
私が、独りで森に入ったから」
後悔の念を再度示す。
(コイツも、ただ、守られるだけは良しとしないんだな)
フッと笑うと政宗は続けた。
「瑠璃、この世は危ない事だらけだ。
気を付けろ。
女が顔にそんな痣、見っともないだろ」
紫色になっている瑠璃の頬を撫でる。
「早く腫れが引くようによく冷やせよ」
瑠璃が目だけで頷く。
「ねぇ、政宗……」
政宗が頬に手を置いたままでの至近距離
「また、馬に乗って出かけてもいいですか?とっても楽しかったから」
ひどく大人びた瑠璃はなりを潜めて、
柔らかで幼げな瑠璃がいる。
「俺が一緒ならな」
「良かった。
政宗と一緒ならもっと楽しいわ」
瑠璃がふふふと笑う。
「そうだ、袴。
新調しないとな。
一緒に 手袋も買うか」
その言葉に
「せっかく、光秀様に買って頂いた袴なのにな……」
思い出してションボリとした。
瑠璃の様子に、政宗はムッとした表情になる。
「何だ、俺が買ってやるのじゃ不服なのか?」
「不服って事ではありません。
ただ、光秀様に買って頂いたのに汚してしまって申し訳ないんですよ。
謝りに行かなくちゃ」
瑠璃はすぐに立ち上がろうとする。